年末調整に絡む源泉所得税納付書

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第1回年末調整に絡む源泉所得税納付書

年末調整による不足税額と超過税額

経理事務の通常業務に源泉所得税の納付書を作成する業務があります。通常は毎月作成して10日までに預かった源泉税を納付する為に作成する納付書ですが、年末調整が絡んだ12月と1月に支払った給料等に対する源泉税の納付書作成は注意を要します。つまり年末調整で1年分の所得税を確定させるために12月の場合には、払い過ぎた源泉税が戻る可能性があるからです。サラリーマンの方なら経験はある人は多いでしょう。

どうして還付が発生するの?

そもそもどうして還付(超過税額)が発生するのでしょうか。

それは1月から12月までの給与や賞与で仮に収めた源泉所得税の合計額が、12月の年末調整の時に計算した1年分の確定給与・賞与に対する所得税が小さいときに発生します。個人に掛かる所得税は1年ベース(暦年)で計算するので、毎月のお給料からは見込みで計算して差し引いてるんです。

ちなみに見込みで差し引く源泉所得税は基準があります。こちらを参照して下さい。

超過税額がある場合の書き方

それでは具体的に源泉納付書の書き方です。大抵の場合は還付になりますからそれを前提とします。

12月の給料合計が300万円、賞与合計が500万円で源泉税預り金がそれぞれ10万円、15万円であったとしますね。その後、年末調整で計算したら年間の超過税額が38万円であることが分かりました。この場合の1月に提出する源泉納付書の書き方は次の通りとなります。

源泉納付書12月

分かりやすいように数字を青くしています。税務署番号と整理番号はあらかじめ印刷されている事が多いので割愛します。

注目してみて欲しいのは年末調整による超過税額の欄です。

年末調整による超過税額は38万円ですが、この欄は38万円とはしません。還付金額が発生しているので、12月分の源泉納付税額はありません。つまり納付0円ベースに合わせるために12月の源泉税額25万円にするのです。すると13万円が純粋な超過税額になるのですが、これは還付請求をするのではなくて次月以降の納付分と相殺するために繰越ます。その金額を摘要欄に記載します。

納付額が0円の場合

納付税額がある場合は、納付書を金融機関に持参して納付していますが、納付税額が無い場合はどうするのでしょうか?

実は納付税額が無い場合は、納付書を税務署に送付しなくてはなりません。直接持参してもいいですし、郵送しても良いでしょう。但し、郵送する場合は返送用の封筒を一緒に入れないと控えを返送してくれませんので要注意です。私の経験上、配達記録で送付すると気持ち返送が早い気もします。もちろん普通郵便でもしっかり返送してくれます。

翌月の源泉納付書の書き方

それでは翌月の納付書の書き方です。前月からの繰越超過額が13万円ありますので、20年1月の預り金10万円は納付する必要はありません。12月度と同様に納付額が0円になるように、年末調整による超過税額の欄に10万円と記載します。そして残りの3万円は更に翌月に繰り越す旨を摘要欄に記載します。

源泉納付書1月

この場合も納付額はありませんが、納付書は税務署に送付する事を忘れないようにしてください。

上の事例で仮に源泉税額が15万円だとしたら、年末調整による超過税額の欄に繰越額の13万円を記入して、本税欄と合計額欄に2万円と記入して、その2万円を納付します。納付書にも書かれていますが、分からない事があれば所轄の税務署に電話で聞いてみると親切に教えてくれます。