復興特別所得税の会計処理

  • HOMEへ戻る
  • TOPへ戻る

第3回復興特別所得税の会計処理

復興特別所得税とは何か

復興特別所得税は東日本大震災からの復興目的の財源を確保するため、復興特別法人税と合わせて創設されることになりました。いわゆる時限立法により創設されたもので、法人税は3年、所得税は25年間課税されることになります。法人税、所得税合わせた見込み税収は約10兆円。復興目的なので仕方ない部分はありますが、特に復興特別所得税が創設された事により経理事務で大きく影響を及ぼす項目について学んでいくことにしましょう。

この復興特別所得税は、個人に対して課される税金で、平成25年1月1日以降の所得に係る分ついて課されます(平成49年12月31日まで)。具体的には、支払うべき基準所得税額に2.1%を乗じた金額を復興特別所得税として上乗せされます。

源泉徴収すべき所得税額

給与等から源泉徴収する場合

毎月のお給料や賞与から差し引く源泉徴収税額については、平成25年度より新しい源泉徴収税額表を参照して源泉徴収を行って下さい。平成25年1月1日以降に掛かる給与等に対して適用されます。

平成25年度以降の年末調整も所得税と復興特別所得税の合計額で行います。源泉徴収簿のテンプレートを下記に掲載しますのでご確認下さい。

平成25年度源泉徴収簿

報酬等から源泉徴収する場合

復興特別所得税が創設された事による一番の問題は個人に対して報酬を支払う場合でしょう。

例えば税理士、弁護士等に対して支払ってた報酬は10%の源泉所得税を差し引いてました。これが復興特別所得税が加わるとちょっと留意が必要となります。

まずは下記の源泉徴収すべき計算式をご覧下さい。。

復興特別所得税額の計算式

平成24年度までなら税理士、弁護士等に対する源泉徴収税額は10%で計算していました。それが復興特別所得税が絡むと2.1%分が上乗せされるので計算が複雑になります。例えば支払金額が10万円であったならば、10.21%を乗じて10,210円が徴収すべき源泉所得税になります。支払金額が100万円超になると2段階で計算して源泉徴収税額を求める必要があります。

さて、ここからが少しややこしくなります。

例えば個人との契約で手取りベースで契約することも実務ではよくあります。手取額を10万円で契約する場合、支払総額は平成24年度までなら手取額を(1-0.9)で割った111,111円を契約金額としているケースです。いわゆるぞろ目報酬です。

手取金額を固定したい場合の具体的な計算方法

報酬をゾロ目の金額で契約を結んでいた場合は、平成25年から税引き後の支払金額が変わるので注意が必要です。

また、税引き後の手取金額を今まで通りで固定したい場合は支払金額を下記のように算出して、契約書の報酬金額を変更する手続きが必要となるでしょう。

手取金額を固定したい場合の具体的な計算方法

最後になりますが、平成24年12月の報酬を平成25年1月に支払った場合はどうなるでしょう。源泉徴収税額は支払日を基準に作成・納付するので、平成25年1月に支払った報酬は2月10日までに納める事になります。しかしながら、報酬はあくまで平成24年に係る所得に対するものなので、内容は旧基準の10%で計算して差し支えありません。つまり、復興特別所得税は無視して計算します。