それでは、そろそろ簿記の具体的な処理を見ていきましょう。まずは取引(とりひき)からみていきます。一体取引とは何でしょうか?一般的に皆さんが思われている取引と簿記上でいう取引はほとんど同じです。
商品を売上げたとか、現金を借り入れたとか、建物を購入した等すべて簿記上においても取引となります。それでは一体「簿記上の取引」と一般に使われている「取引」とは何が違うのでしょうか?
それは、簿記上の取引とは先ほど貸借対照表において学んだ資産・負債・資本の各項目の増減に影響を及ぼすものを指すのです。言い換えれば、これらの項目の増減に全く関係のない事象は簿記上は取引とは言わないのです。
とりあえず具体例を出してみましょう。
例1. 会社の倉庫が火災により中に置いてあった商品が全焼した。
例2. 本日当社は、得意先と商品売買契約を結んだ。
いかがでしょうか?上記の例でどちらが簿記上の取引だと思いますか?実は例2の事例は簿記上では取引とは言いません。例1が簿記上の取引になります。意外でしたか?順番に見ていきましょう。
まず例1ですが、火災により商品と倉庫が全焼しています。難しいかもしれませんが、商品・倉庫は共に資産項目です。火災により全焼していますので共に価値はゼロ円になります。つまりこれは資産の減少に該当します。(簿記上の取引)
次に例2ですが、実際には取引と呼んでいますがこれは簿記上では取引とは呼びません。難しくなりますが、簿記では実際に商品を引き渡したときに収益を認識しているので単に契約書を交わしただけでは取引とは言わないのです。
最後に難しい事を書いてきましたが、あんまり深く考えないで次に進めて下さい。無責任に聞こえますが、簿記は頭で考えるよりも体で覚えていくものですから。
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