■ 現金取引の処理 ■

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■ 現金勘定って何? ■

 それではいよいよ個別取引について詳しく見ていきましょう。簿記の大まかな流れは既に学習済みなので、今度は枝葉の細かい部分を見ていく事にします。だだしいきなり細かくなりすぎても難しいので、幹から少し太い枝の部分を中心に学習していきましょう。

 さて現金(げんきん)とは一体何なのでしょうか?大体想像はつきますよね。そう、紙幣や貨幣などのお金です。このように勘定科目からすぐに推測できる想像力のある人は、簿記に向いていると思います。

■ 簿記上の現金 ■

 さて、先ほど現金とはお金である事を説明しました。しかし簿記上の現金はそれだけではないのです。色々あるのですが、問題上よく出てくるのが、他人振出しの小切手、株式配当金領収書、期限の到来している公社債の利札です。この3つはこれから簿記を学習していく上で、非常によく目にします。是非覚えておきたいところです。これらは全て簿記上の現金です。

■ 簿記上の処理 ■

 さて、こういった現金は簿記上どのような処理がされるのでしょうか?まずは現金って「資産項目」「負債項目」「資本項目」「費用項目」「収益項目」のうちどれに該当するのでしょうか。

 そう、現金は「資産項目」です。現金が増えれば資産を増加させ、現金が減れば資産を減少させます。つまり、資産項目は箱の左側にありましたね。言い換えれば仕訳を切るときは下記のようになります。

 現金が増加した時の仕訳(資産の増加)
 (現 金) ×××  (   ) ×××

 現金が減少した時の仕訳(資産の減少)
 (   ) ×××  (現 金) ×××

 何となく分かっていただけたでしょうか?それでは例題です。

 1.取引先から売掛金100円を現金で受け取った。
 2.販売費50円を現金で支払った。
 3.商品を売上げ、代金は相手先振出小切手で80円受け取った。
 4.本日株式配当金領収書10円を受け取った。
 5.期限の到来した社債の利札15円を所持している。


 いかがですか。解答を見て雰囲気をつかんでイメージしてください。

 1.(現 金)100 (売掛金)100
 2.(販売費) 50 (現 金) 50
 3.(現 金) 80 (売 上) 80
 4.(現 金) 10 (受取配当金) 10
 5.(現 金) 15 (有価証券利息)15


 別に間違えたからといっても気にする必要はありません。最初は難しいので出来なくても当たり前です。たくさん間違えて身に付けていけば問題ないと思います。何度も言いますが、とにかく仕訳に慣れる事だと思います。

 重複するようで申し訳ありませんが、例題の取引は全て資産項目である現金が増減するので全て簿記上の取引となります。つまり仕訳を切る必要があるのです。最後に上記例題の現金勘定の記載について簡単にイラストで紹介しておきます。

現金勘定の記載


 現金勘定の借方(左側)は資産である現金の増加を表し、貸方(右側)は資産の減少である現金の減少を表します。現金は資産なので必ず借方残高になります。

■ ちょっと息抜き ■

 ちょっと息抜きのコーナーです。現金の増減は、全て簿記上の取引に該当するので次のような場合も仕訳を切る必要があります。「現金を紛失した」又は「現金が盗難に遭った」などです。もちろん簿記上では取引と呼んでいます。

 (雑損失)××  (現 金)××
 (盗難損失)××  (現 金)××


 更にはこんなのもありますよ。例えば収集用の記念硬貨などを販売しているお店が販売目的で所有している現金や紙幣は資産項目である「現金」となるのでしょうか?答えはノーです。この場合は資産項目である「商品」となります(販売されれば売上原価となるのです)。

 このように同じ現金でも目的などによって勘定科目が変わるところが、簿記の面白いところでもあり深いところでもあるのだと思います。


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