例題.次の備品を350,000円で売却しました。売却時の備品売却損益はいくらですか。
1.会計期間:平成19年4月1日から平成20年3月31日
2.備品の取得価額:380,000円
3.償却方法:定額法。残存価額1割。耐用年数は10年とする
4.取得(事業共用)日:平成19年3月25日
5.備品売却日:平成19年4月15日
売却までに何ヶ月分の減価償却を行ってますか?
林システムを使えば経過年月数の算出は簡単ですが、簿記の問題を解答するにあたって少し問題点が生じます。ちょっと上の問題を解いて欲しいのですが、分かり易いようにあえて期間を短くしています。こんな問題が出題された場合などに林システムは使えるのでしょうか?
計算自体は簡単ですよね?最初の日が平成19年3月25日、最後の日が平成19年4月15日でした。引き算してもマイナスは出ないし、大小比較でも見事に「大以上小未満」のパターンですから答えはそのまんまでしたね(笑)そう、0年1月が経過年月です。
でもちょっと待って下さい。確かに平成19年3月25日から4月15日は経過月数1月です。簿記の問題では1月未満は切り上げで1月と数える前提ですから。しかし、この問題のように間に決算日が絡むとややこしくなります。つまり取得日から売却日まで減価償却は何ヶ月分するの?と聞かれた場合に解答の1月では不正解だと言う事なんです。言いたい事はもうお分かりだと思います。つまりこの問題ですと、取得日から決算日である平成19年3月31日までの1ヶ月分と期首である平成19年4月1日から売却日までの1ヶ月分の合わせて2ヶ月分の減価償却費を計算しなければならないって事です。
と言う事は期間1月で答えを出した林システムは使えないのかってなりますよね?
例題の解答
1.前期3月25日~決算日の減価償却費:
380,000×0.9÷10×(1÷12)=2,850
2.期首の減価償却累計額勘定:2,850・・・1ヶ月分
3.当期4月1日~売却日の減価償却費:2,850・・・1ヶ月分
4.売却時における備品の簿価
380,000-上記2-上記3=374,300
5.売却価格350,000-簿価374,300=▲24,300(売却損)
売却までに2か月分の減価償却が必要です。
これが正解です。林システムだと1月になるので解答を間違える事になっちゃいます。そこで個人的にお勧めしたいのが、上記のような問題が出た場合は一旦決算日で区切るのがいいのではないかと考えてます。例えば先程の問題の場合は、取得日から前期末決算日と当期で計算を分けるのが間違いが無くていいです。特に固定資産の期中買換えや、社債の期中償還を迎えるややこしい問題を解く場合には、開始の日から前期末及び期首から最後の日と2段階で計算した方が確実でお勧めだと思います。簿記の問題だけでなく、相続税など税法の問題でも経過年月を求める出題は多いです。そこで出題される内容を見極めて、応用を利かせてこのシステムをご活用頂けましたら幸いであります。
それでは、次のページで林システムのまとめです。