勘定の必要性
皆さん、こんにちは。いよいよ8日目となりました。最初の頃に比べて沢山のことを学びましたね。簿記は会社の一定期間の儲けを計算することや、取引とは何なのか、また、全ての取引を忘れないように帳簿に記録して後で見直しが出来るようにするんでしたね。その記録の方法が仕訳と呼ばれるものでした。大まかに簿記の本当の目的が見えてきた(かな?)ので、もう少し細かいところも学習していきましょう。今回は勘定(かんじょう)を学習していきましょう。前回で簿記上の取引は仕訳という方法によって帳簿に記録していくことを学びました。その日々の取引を記録している帳簿を仕訳帳(しわけちょう)と呼んでいます。
勘定とは各科目の集計表
勘定とは、この仕訳帳に日々記録されている取引のうち、各科目の増減明細を分かりやすくまとめた集計表だとイメージしてください。会社の簿記は家計簿とは違って、お金の増減だけでなく資産・負債・資本の増減に収益や費用を把握しましたね。となると仕訳帳は日々の取引を完璧に記録出来ても、例えば現金は日々どのように増減しているのか、又は、売上は毎日どんな感じで伸びていってるのかを調べたい時に、数字を拾い出すのが結構大変です。
例えば会計期間を1月1日から12月31日までとします。上図は仕訳問題の取引を抜粋した仕訳帳の内容ですが、この5つの取引が期中に発生したとします。現金は期首(1月1日)の時点で500円持っていたとして、12月31日の現金残高はいくらでしょう?すぐに分かりますか?おそらく仕訳を見ながら現金の数字を拾い出して足したり引いたりして答えを出したと思います。期中はたった5つの取引ですが、これだけでも結構な労力を使います。そこで一目で把握出来るように勘定というものがあるのです。
勘定と転記
日々の取引では沢山の科目が登場します。つまり資産項目であっても、以前お話したように「現金」、「売掛金」、「受取手形」、「貸付金」、「建物」・・・沢山の科目があるのです。これら沢山の科目が仕訳帳に並んでいると科目ごとの増減変化が全く見えません。そこで生まれたのが勘定です。勘定は下の図を参照して頂きたいのですが、T字の形をした真ん中の線を中心に左側を借方、右側を貸方と呼びます。これは以前の貸借対照表や損益計算書でも同じでしたね。細かい内容は後回しで、勘定は各科目の内容の日々の増減の明細を表しているのです。
例えば現金は資産項目です。つまり貸借対照表の資産になります。貸借対照表の資産は左側、つまり借方でしたね。なので現金(資産)の残高がある場合には、必ず左側(つまり借方)に残高があることになるのです。逆に借入金は負債項目です。つまり貸借対照表の負債になりますね。負債は資産と逆に右側、つまり貸方になりました。なので借入金(負債)の残高がある場合には、必ず右側(つまり貸方)に残高があることになるのです。ここ結構重要です(笑)
勘定はどのタイミングで計上すると思いますか?実は取引が発生し、その取引を仕訳帳に記録したのと同時に仕訳帳から勘定に機械的に計上していきます。これを転記(てんき)と呼びます。仕訳帳は取引を記録するもので、勘定は科目の増減明細を表すボックスとイメージで覚えていただければと思います。
勘定記入の方法
勘定記入の具体的な方法ですが、ここでも実際の具体例を見ながら図と一緒に覚えた方がよいでしょう。取引例として、4月1日に現金を当座預金に100円預け入れた取引について考えてみます。これは
7-5の仕訳の練習Q1でも解きました。忘れていたならば、もう一度復習がてらチャレンジしてみて下さい。
もう仕訳は大丈夫ですよね?この取引は資産(当座預金)が増えて資産(現金)が減ってる取引です。左側が借方(かりかた)、右側が貸方(かしかた)で、ひとつの取引で必ず原因と結果を表すよう仕訳を行います。
つまりひとつの取引で最低2つ以上の科目を使うのですが、この科目を勘定科目(かんじょうかもく)と呼びます。今回の取引では「当座預金」と「現金」の2つの勘定科目を使用しています。また上図のように正式な仕訳帳になると日付や小書き欄がありますが、簿記検定などの試験では貸借の勘定科目と金額だけを記入して簡略する場合がほとんどです。
その次は、この「当座預金」と「現金」の増減内容を仕訳帳から総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)に転記します。この総勘定元帳というのは、勘定を寄せ集めた大全集みたいなもので、全ての勘定科目を管理している帳簿なのです。資産・負債・資本・費用・収益の全ての勘定がここに記録されて管理されます。
勘定というのは以前お話したように、T字型のボックスになっていて、左右の差額により残高を把握するのです。このT字ボックスに転記するわけですが、その記入方法にルールがあるのです。下図をご覧下さい。
まずは仕訳帳の借方に記入した「当座預金」を転記してみましょう。「当座預金」は仕訳帳の左側、つまり借方に記入しました。なので、総勘定元帳の「当座預金」を引っ張り出して同じくボックスの左側(借方)に転記するのです。この時、日付・相手勘定科目・金額を記入します。
今度は仕訳帳の右側、つまり貸方の科目を転記してみましょう。貸方は「現金」でした。先程の「当座預金」と要領は全く同じです。総勘定元帳から「現金」勘定を引き出して、同じくボックスの右側(貸方)に転記します。そんなに難しくはないと思いますが、仕訳は貸借で記録するので転記作業も借方と貸方とで2回以上は必ず行います。
特殊な仕訳の転記方法
基本的な転記の仕方を理解できたと思うので、少し応用してみましょう。下図を見て欲しいのですが、このような取引の仕訳があった場合はどのように転記すればよいのでしょうか。問題自体は少し難しいのでそのまま解答を見て頂きたいのですが、左側(つまり借方)の勘定科目が2段構えになってます(笑)この場合の転記の仕方を考えてみます。
まずは借方の2つの科目を勘定に転記してみましょう。今までと同じですが、科目が2つあるので気をつけてください。特に難しくはないと思いますが、仕訳では借方に記入されてますので勘定科目も同じく借方に転記します。相手勘定科目は1つだけなのでそのまま「現金」ですね。
今度は仕訳帳の貸方(右側)、つまり現金を転記するのですが相手勘定科目が2つあります。この場合の相手勘定はどちらになると思いますか?
実は相手勘定科目が2つ以上ある場合は、諸口(しょくち)と記入します。これは勘定記入のルールですから、是非覚えてもらいたいと思います。