精算表とは何だろう
皆様、こんにちは。簡単な簿記講座も11日目になりました。実は私自身も、制作当初はこんなに気合を入れるつもりは無く、旧簿記講座の体裁を良くしただけの一週間程度で修了するような講座にするつもりでした。が、途中からテンションが上がって約2倍になっちゃいましたけど、逆に言えば全てが手抜きできないとても大事な項目だと言えます。ここをきっちり押さえると、今後の簿記学習が非常に効率よくなること請け合いなので、しっかり自分のものにして欲しいと思います。さて、今回はいよいよ精算表(せいさんひょう)です。精算表は検定試験の総合問題で必ずといっていいほど出題されます。
精算表は、清算表とよく間違われるので注意して欲しいのですが、検定試験を受験される方はあまり関係ないとは思います。さて、その精算表ですが、前回の決算についての講義でも軽く触れましたが、精算表とは決算手続きの流れを一覧表にして視覚的に分かりやすくまとめた表です。つまり決算整理前残高試算表に始まって、決算整理と呼ばれる修正仕訳を加味し、当期純利益の決算振替を行って帳簿を締め切り、損益計算書と貸借対照表を作成する流れでした。ずばり!その流れを一覧にしたものが精算表と呼ばれるものなのです。まあ百聞は一見にしかずで実際に下記の精算表のサンプルを参考にしていただければと思います。クリックすると拡大します。
この精算表が最もスタンダードな8桁式精算表と呼ばれています。どうして8桁と呼ばれているのかはこの表を見れば一目瞭然だと思います。決算手続きの手順がこの精算表の左から右に流れていくイメージで理解していただければいいと思います。
決算修正仕訳の記入
それでは具体的に精算表の記入の流れを簡単に説明しましょう。本当に詳しい内容は別の講座で行いたいと思いますので、ここでは簡単に決算手続きと精算表の記入の流れだけを理解していただければ結構です。
最初は左側の2桁の欄に残高試算表と書かれた欄があります。こちらに残高試算表の各勘定口座残高を記入していきます。数字は以前に
9-3残高試算表のところで学んだ残高試算表の数字と同じにしています。そのまま記入していることを確認して下さい。下図をクリックすると拡大し、マウスを右の方に移動すると右上に「NEXT」と表示されるかと思います。クリックすると次々と精算表の記入方法が順番に表示されます。戻るにはマウスを左に寄せると、左上に「REV」と表示されますのでクリックして戻ってみて下さい。
この精算表に記入されている残高試算表はいわゆる「決算整理前残高試算表」と呼ばれています。もちろん正しく処理されていれば貸借の金額は一致しています。期中の仕訳帳から総勘定元帳の転記が正しいのを確認して、いよいよ決算手続きに入ります。下図をクリックすると拡大します。
決算整理仕訳とは前回の
10-2決算整理についてでも学びましたが、正しい期間損益計算を行うために修正する仕訳です。上記の仕訳の意味は、今の段階ではもちろん理解できなくても大丈夫です。要するに
決算の為だけの仕訳が存在しているのですが、その取引を修正記入欄に数字を記入していきます。また、決算整理仕訳では
期中に使っていなかった勘定科目が登場することがよくあります。その場合は、精算表の下の方の空欄に新しく勘定科目を埋めて処理します。その辺は下図で確認していただければと思います。クリックすると拡大し、より詳細な解説が記された図表が見れます。
いかがでしょうか。決算修正仕訳自体の内容は難易度の高い項目なのですが、与えられた決算修正仕訳を精算表に記入していくこと自体はそれほど難しいものではありませんね。もう一度よく確認して理解を深めて下さい。
当期純利益(損失)の振替記入
さて、修正記入が終わるとそれを反映した決算整理後残高試算表と呼ばれるものが作成出来ます。それを元に、損益計算書と貸借対照表を作成していくのですが、実は10桁式精算表では修正記入欄の右隣りに決算整理後残高試算表の欄があるのです。ただ、検定試験で出題頻度の高い8桁式精算表では決算整理後残高試算表は割愛しています。さて、それでは損益計算書欄の記入方法を見ていくことにしましょう。下図をクリックすると詳細な拡大画像が出てきます。
いかがですか?難しいようで意外と簡単に記入できる方もいるかもしれません。損益計算書欄を記入する際には、収益勘定と費用勘定のみ着目します。これらの残高試算表の数字をベースに修正記入があればその数字を加減算して、最終的に損益計算書の欄に流します。加減算には基本的なルールがあって、資産・負債・資本・費用・収益すべての科目に共通しますが、残高試算表が借方残高ならば、修正記入欄の借方金額の数字を加算して、貸方金額の数字を減算します。逆に残高試算表が貸方残高の科目は、修正記入欄の借方金額の数字を減算して、貸方金額の数字を加算します。さて、ここで損益計算書欄の貸借が一致しませんがどうしてでしょうか。
実は
その差額は当期の儲けである当期純利益なのです。前回の決算の講義で、集合勘定である損益勘定に各収益と各費用を振り替えて、その差額は当期純利益となるんでしたね。実は
損益計算書の内容は損益勘定の内容とほぼ同じなんです。つまり損益勘定を誰が見ても分かりやすいように明瞭性を高めたものが損益計算書だとイメージして頂ければOKですよ。
貸借対照表欄の記入
それでは、最後に精算表の一番右側になる貸借対照表の欄の記入の方法です。要領は先程の損益計算書欄の記入と同じですから、しっかり確認して欲しいと思います。貸借対照表欄の記入は、貸借対照表項目である資産・負債・資本の残高試算表欄の勘定科目に着目します。下図をご覧下さい(クリックすると拡大します)。
要領は先程の損益計算書欄の記入と変わりません。まず残高試算表欄の資産・負債・資本の各勘定科目に着目して、修正記入欄の数字を加減算して貸借対照表欄に持っていくだけです。例えば残高試算表欄の売買目的有価証券の行を見てください。残高試算表は借方残高10万円ですよね。修正記入欄は貸方に3千円が記入されてますので減算します。そして最終的には9万7千円の借方残高として貸借対照表欄に記入していくのです。
記入が終わるとまた貸借の合計金額が一致しません。
これは純資産の増加分として当期の儲けである当期純利益であることは、
6-3財産法と当期純利益でも学びましたね。また、期首資本金の200万円と当期純利益26万円を合わせた金額は期末資本金の金額になる事は、
10-3決算振替と帳簿の締め切りでも少しだけ触れました。これらを何度も読み返してより理解を深めていただければと思います。また損益計算書欄で算出した当期純利益と、貸借対照表欄で算出した当期純利益は必ず一致します。これは
6-4当期純利益のまとめでもお話しましたが、確認の上でもう一度読み返してもいいかもしれません。