試算表の概要
皆様、こんにちは。簡単な簿記講座もいよいよ終盤に差し掛かってきました。途中からぐっと難しくなったと思います。焦らずに不安がある場合は理解出来るところまで戻って理解を深めるようにして下さいね。さて、今日は試算表(しさんひょう)について学んでいきます。毎回新しい計算書類や用語が出てくるので大変だと思います。最初は計算書類の暗記よりもイメージがつかめるよう流す程度でいいかと思います。難しい用語はそのうち覚えていきますから。それでは試算表とは一体どういった計算表なのでしょうか。
簡単に言えば、試算表は総勘定元帳の各勘定科目の金額を一覧表にしたものです。前回の講義で、仕訳帳に取引を記帳して、かつ、同時に総勘定元帳に転記することを学んだと思います。つまり、正しく転記が行われたのかどうかをチェックするために試算表が存在するのです。ちなみに資産表と書いて間違えやすいのですが、資産の資ではなくて試すの試と書いて試算表と呼びます。
試算表にはいくつか種類があります。各勘定科目の借方と貸方の合計金額をそのまま集計した「合計試算表(ごうけいしさんひょう)」や各勘定科目の貸借の差額を集計した「残高試算表(ざんだかしさんひょう」、また、その両方を組み合わせた「合計残高試算表(ごうけいざんだかしさんひょう)」があります。
合計試算表
それでは合計試算表から見てみましょう。合計試算表とは、総勘定元帳に転記された各勘定口座の借方合計と貸方合計を集計して作成される表です。下の図を参照して下さい。これが合計試算表の基本的なフォーマットになります。
仕訳は必ず借方と貸方で同じ金額になりますから、勘定に転記する時も同様に借方と貸方は仕訳と同じ金額を転記しますよね。もう一度、
「8-3転記の方法」で復習してもいいでしょう。つまり
合計試算表では、正しく転記出来ていれば、仕訳帳の借方合計と貸方合計と合計試算表の借方合計金額と貸方合計金額は必ず一致することになります。
上図を参照して下さい。総勘定元帳の現金勘定口座から借方合計金額と貸方合計金額を試算表に集計しています。同様に他の勘定口座からも借方と貸方の合計金額を集計していきます。
残高試算表
次に残高試算表(ざんだかしさんひょう)を見てみましょう。残高試算表は、合計試算表と違って各勘定口座の借方と貸方の金額の差額のみを集計した表です。合計試算表のように仕訳帳の借方合計と貸方合計が試算表の借方合計と貸方合計と一致するわけではありませんが、残高試算表の良い所は、決算手続きを行う際に財務諸表作成の基礎となる数字を集計するので精算表を作成する場合などに役立ちます。
上図の残高試算表と先程の合計試算表を見比べてください。合計試算表の貸借が相殺された金額、つまり作成時点での各勘定口座の残高の一覧表とも言えます。残高試算表においても貸借平均の原則により借方合計と貸方合計は必ず一致します。つまり取引の段階で仕訳を行う時に、必ず借方と貸方は同じ金額ですから、正しく処理されていると最終的に集計をしても貸借金額は同じになります。
上図を見ていただけると分かると思いますが、各勘定口座の借方と貸方の差額を残高試算表に記入していきます。現金は資産項目ですから必ず借方残高になるんでしたよね。費用も借方項目です。覚えていますか?また、負債・資本は貸方残高になります。そして収益は貸方項目でした。
合計残高試算表
最後に合計残高試算表を見ることにしましょう。合計残高試算表はその名の通り、合計試算表と残高試算表とをくっつけてひとつにまとめたものです。つまりお互いの短所を補い、利便性を高めた試算表であるといえます。
少し小さくて見づらいかもしれませんが、クリックで大きくなります。簿記検定ではこの合計残高試算表と残高試算表に関する出題が多く、とても大事な項目になります。出題パターンや解法などは別の機会に譲りますが、試算表の役割は仕訳帳から総勘定元帳の各勘定口座に正しく転記出来ているのかを検証する表だとここでは覚えて下さい。