前払金と前受金、商品券の処理(日商簿記3級)

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目次と用語解説

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前受金と前払金、商品券

前受金と前払金

今回は別の債権債務である前払金(まえばらいきん)前受金(まえうけきん)を学習していきましょう。

 売掛金、買掛金と同じく商品売買で発生する債権債務ですが、商品を売ったり買ったりする際に先に代金の一部を手付金(てつけきん)として授受することがあります。例えば、商品を実際に仕入れる前に先に代金の一部を支払う場合は、この一部支払った金額を前払金といいます。前払金は将来に商品を受け取る権利を有しているので資産で処理します。

 反対に商品を販売する側が先に代金の一部を手付金として受け取ることがあります。この一部受け取る金額を前受金と呼びます。前受金は将来に商品を引き渡す義務があるので負債で処理します。

 ちなみに、手付金のことを内金(うちきん)と言うこともあります。それでは例題を使って実際に解いてみましょう。
  前払金・前受金の例題
秋田商店と青森商店で商品売買契約を結びました。単に契約を結んだだけでは資産・負債・純資産は変動しませんので簿記の取引にはなりませんでしたね。この例題では、現金を手付金として秋田商店が青森商店に渡しているので簿記上の取引になります。商品は実際に引き渡しをしていませんが、秋田商店は将来3万円分の商品を引き渡す義務が生じているので負債として前受金(負債)を計上します。青森商店は、逆に3万円分の商品を受け取る権利を有しているので前払金(資産)を計上します。
  前払金・前受金の例題
その後、商品を引き渡した場合の秋田商店と青森商店の仕訳です。実際に商品を引き渡しをしているので前受金と前払金はそれぞれ精算します。手付金を超えた分については掛けとするので、今度は売掛金と買掛金という債権債務が発生しました。これは前回の復習になりますので確認しておきましょう。

 売掛金や買掛金が商品代金を後払いにすることにより発生する債権債務なのに対して、前受金と前払金は商品代金を先払いにすることにより発生する債権債務です。これだけだとそんなに難しい項目とは感じないかもしれません。しかし、今後学習する仮払金・仮受金や色々な経過勘定項目などを習得すると混乱し始めることがあります。一つ一つしっかりと理解しながら覚えていきましょう。それでは最後に難しい腕試し練習問題を解いてみましょうか。
練習仕訳問題

解答を表示する

意外と難しかったのではないでしょうか。前受金と前払金で混乱しませんでしたか?このような複合取引となると慣れていても混乱するものです。商品を仕入れる立場なのか販売する立場なのかを把握して仕訳を考えて下さいね。

前払金イメージ?

商品券を発行した場合

それでは、商品券(しょうひんけん)について学ぶことにしましょう。日商簿記3級では商店(会社)が商品券を発行する場合と、商品券と引き換えに商品を販売する取引が比較的多く出題されています。検定試験で頻出する大事な論点なのでしっかり身につけましょう。

 まず商品券とは何かというと、商品を購入できる引換券みたいなものです。世の中には色々な商品券が出回っているので実際に使っている方も多いのではないでしょうか。簿記3級を前提にした個人商店が単独で商品券を発行するケースは珍しいとは思いますが、問題としてはよく出題されています。まずは商品券を発行したときの仕訳を確認していきましょう。

商品券発行のイメージ
商店が消費者に対して商品券を1,000円発行した場合には上図のようなイメージになります。商品券は商品と交換できる券なので資産とイメージされると思います。しかし、今回は自ら発行してお金を集める立場です。これは先程学んだ前受金と同じ性格のものだとイメージして頂ければと思います。つまり、将来商品券と引き換えに商品を引き渡す義務があるので、お店が商品券を発行した場合は前受金と同様の負債になるのです。但し、通常の前受金と区別するために商品券という負債勘定を使います。

それでは例題を解いてみましょう。

商品券発行の例題
さて、発行した商品券を使われた場合はどうでしょうか。この場合は前受金と前払金の例題でもありましたが、商品券勘定と相殺します。具体例で確認して下さい。

商品券発行の例題
解答出来ましたでしょうか。実質的には前受金なのでそれほど難しくはなかったと思います。前受金と同様の処理をすれば解答出来たのではないかと思います。

他店商品券

次は他店商品券(たてんしょうひんけん)について見ていきましょう。先程は商店が単独で商品券を発行していましたけど、複数の商店が協力し合って他店の商品券を使えるようにすることがあります。他店が発行した商品券で商品を販売した場合は、他店商品券勘定で処理します。

 しかし、他店が発行した商品券については発行した商店が最初に代金を受け取っているので、他店が発行した商品券で商品を売った場合は、自店はその商品券の代金を受け取っていないのに商品を引き渡したことになり損します。この場合は、その商品券を発行した商店に代金を請求することになります。

他店商品券の仕組み
上図では六角商店が発行した商品券をおばさんが六角商店で使ってくれれば問題無いのですが、他店で使われた場合は六角商店が持っている千円を、使われたお店に渡さないと発行した商店は丸儲けで使われたお店は損してしまいます。いや、厳密には六角商店の商品券で商品は買えるのですが納得いきませんよね?

 そう、最終的には他店が発行した商品券は、その発行した商店が現金と引き換えに引き取るような仕組みになっています。つまり、他店商品券は将来お金と引き換える権利があるので資産になります。

 ただし、個別に発行した商店に直接引き換えに行くのではなく、商品券交換会を開いて各商店が持っている商品券を持ち寄って精算します。当店が発行した商品券が他店で使われている場合もありますので合わせて精算します。これは腕試し練習問題で確認しましょう。

お互いが相手の商品券を持っている場合
練習仕訳問題

解答を表示する

 
商品券の出題については、出題パターンが限られているので、この程度の問題が解ければ本試験でも対応できるでしょう。自店発行の商品券と他店発行の商品券の違いをしっかり復習して理解に努めて下さい。

前払金・前受金、商品券のまとめ